第29話

「はい…」


「浩生さんは、仕事を憶えて下さい。


 奥さんをたすけられるのは…あなただけです。


 それを、肝に銘じて…えて下さい!」


「はい…」


 施設職員達が、二人に掛ける言葉―


 そのニュアンスは、花奈と浩生では、大きく違っていた。


 その理由わけは……


「はい!

 浩生さん。


 其処の作業着を、着て!」


「…はい。

 着替えます…」


 浩生は、職員の指示通りに―御仕着せのスーツを脱ぎ…新品の、青い作業着を着込んだ。

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