第42話

 先生に、いわれました。

 ぼくには、かみのけ代だけ・280円分の価値しか、なかったそうです。


 ごめんなさい。

 こんな…

 こんな、安い男が、諸星さんから、何もかも、うばって。〟


「……?」


「あ?『280円』ですか…


 手術前に刈り取った頭髪を、人毛加工業者に売ったんですよ?


 案の定、『粗悪品』でしてね…(笑)

 只野の『施設内生活経費』の、足しにもなりませんでした(嘆息)」


「………」


「…『中期』の彼は、そんな所です。

 徐々に、あなたへの贖罪意識が、芽生え始めた頃ですね…?」

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