第39話

 施術医は、数男を落ち着かせ、彼の身柄を所員に引き継いだ。


「識番20023・只野数男!」


「はい!」


「支給認可品を与える。

 速やかに、その病衣一式を脱いで、付いて来るんだ」


「はい」


 数男は全裸になり―倉庫へと入った。


 黴臭い、庫内…更に、鼻を突く、脂と酸の入り混じった、なまぐさい腐臭……


「!?」


 分別はされているものの、乱雑に積み上げられた、臭穢物しゅうあいぶつで溢れ返った、棚……


「死んだ収容者に、支給されていた物だ。


 ここでは原則、個別に与えられる物は無い…」

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