第8話

 胸元には、虎目石タイガーアイの入った、銀十字シルバークロスのチェーンペンダント。

 そして、背中には…

 瑠璃色の模様が入った、美しい黒蝶の、刺青タトゥーが……


 化粧気一つ無い彼女とはぎゃくの、如何にも下衆な少年……。


「フン…

 中卒のカフェ店員よか、イイおつとめだろ?


 へへへっ…

 お互い、楽しくヤろーぜ…?」


「……!」


 血と涙で汚れ、破れた服で蹲る、あかりのの中で、巧矢の背中の蝶が、強かに羽を広げている…


 バタン!

 カツカツカツ…


 彼の黒革ブーツの、高いヒールの音が、遠離って行く……

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