第50話

 少なからぬ現金の他に入っていたのは、若干の板ガムと飴に、認印の入った印鑑ケースと、小型のボールペン…それだけであった……。


「大体、今…何年何月だよ…(汗)」


 兔に角、己の「現在いま」に、辿り着かねば……


 警察は、頼みに出来ない―ポーチの中の、大金の正体が判らぬ内は、関わる訳には行かぬ……


 病院にも、行くのは憚られる―記憶が欠けた己だ…間違い無く、警察に照会される……


 少なくとも、確実に存在している筈の「かなこ」に、迷惑は掛けられない…自分で、何とかしなければ……!

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