第27話

 自分本位な黒猫かと思われた男は…仁には義で返して来る、寧ろ忠犬の様だ……。


 そして、何よりも…七菜むすめを可愛がってくれている……全く、意外であった。


 佳一も又、伽那子同様に…己には無かった家庭を、心の奥底では、憎からず感じていたのかも知れぬ……。


「おかあさーん!

 じゅんび、オッケーだよー!?」


 七菜の声―伽那子は現実に戻り、笑顔で応えた。


「はーい!

 出掛けようね!?」


 その時―


「気ィ付けろよ!?」


「!」


 ドアの向こうの工房から、ぶっきらぼうな男の声がした……


「うん!

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