終わらない物語(ストーリー)―続きの二十六歳

荊棘(いばら)に囚われて―千歳の衝撃

第14話

 あの交通事故から、十五年余―


 優一が入院する、大学附属病院の勤務医と成った千歳は、非番になるなり、彼の病室を訪れた。


 相変わらず微笑ほほえみを浮かべ、穏やかに眠っている彼…


 千歳は、歳月と共に益々美しくなった、端正な優一の顔を見詰める……


 整髪間も無い、綺麗な黒髪…


 意外に長い、睫毛…


 高く整った、鼻…


 そして…

 脹よかな、唇……


 愛しさに、思わず彼へと頬を寄せる、千歳…


「……」


 その瞬間ときだった―


「んっ……」


「!?」


 耳慣れぬ、男声―


 優一の唇が、微かに動き…

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