残酷な童話(フェアリーテール)―始まりの十一歳
いつか王子様と―千歳(ちとせ)の初恋
第1話
小春日和の、朝―
紅いカーディガンを腰結びにし、水色のランドセルを背負った
「おはよう!川崎くん」
彼女の元気な挨拶―
「烏山さん…おはよう」
それを受けたのは、千歳の隣席に座る、川崎優一…
物柔らかな、少年の声…
彼は静かに、彼女の挨拶に応え、読んでいた本の頁へと視線を戻す…
黒い髪、黒い瞳…
整った横顔…
密やかな、彼への恋心…
今日も、千歳の胸は鳴る……。
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