　「予約席」には―草司の妻・珠実(36)と、彼の息子・蓮(2)が、既に座っている……。

「おとーさーん！

　おねーちゃーん！」

　嬉々として、手を振る蓮…

　彼を、右腕で抱き抱（かか）える珠実も、笑顔で左手を挙げる……

「御苦労様？

　愛…

　今日も一日、御疲れ様…

　草司さん……！」

　珠実の、その薬指に、光る指輪（リング）…

　草司も又、彼女と揃の結婚指輪（マリッジリング）が輝く、左の手を挙げ―涙ぐみながら、微笑み返す……。

「草司さん…

　あの嘘は一生、吐（つ）き通して貰うわよ？」

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