第43話

 それを瞳で押しとどめて、珠実は続けた。


「私の、お父さん…

 貴方みたいな、男性ひとだったのよ…?


 癌で死ぬって、分かってて…

 それでも最期迄、全力で私を愛してくれた……」


「……!」


「そんな父を、棄てて…

 赤ん坊の私を、のこして…

 他の男に走った『母』なんか、全然知りたくもないけど…


 病院のベッドで、涙を浮かべながらも…

 私の手を、強く握り締めて…


 優しく微笑いながら逝った…

 そんな、お父さんは…

 絶対に、忘れない……!」


「…珠実さん……」


「だから…

 最後に、誓って?

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