妻の嫉妬、そして…彼女が想起した、少年の心の深淵

第33話

〝あいの おとうさん〟


 商品売場に使う―大きなハート形に切り取られた、カラフルな色画用紙に、人寄せする文字を、マーカーで手書きした―販売促進POP広告を手にして、にっこりと笑う草司をえがいた、愛のクレヨン画。


〝「おとうさん、どうしてそんなに、わたしをみてるの?」

 「ぼくはすぐに、とおいくにへいくから。

  きみのかおを、たくさんみたいんだ。」

  やさしくわらう、おとうさん。

  でも、わたしをしかるときは、なきました。

 「ごめんなさい、あいちゃん。

  ぼくが、ちゃんと、いきていないから。

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