第30話

 草司のから、自然に涙が零れ落ちた。

 彼の胸に飛び込む娘を、彼は両手でいだき締めて、微笑う……


「ただいま…!」


「おとうさん、ないてる…

 さびしかった?」


「ううん…

 嬉しいんだよ…?


 …かわいい……」


「ベッキョって、たいへんでしょ?

 まみちゃんちも、そうなの…


 おとうさん、ごはんつくったりとか、だいじょうぶ…?」


「うん…

 僕は、上手だよ?


 子供の頃から…得意だったから……」


「すごーい!?」


「そうだ!?

 今晩、お父さんと一緒に、カレーライスを作ろうか?

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