第23話

「娘の名前…『愛』にしたわ?」珠実は草司に、初めてむすめの写真を示した。


「『愛』―」


「アナタ、アタマ悪そうだったから。


 馬鹿の一つ覚えなら、真ともに書けるでしょ?」


「………」


「…非道ひどいと思う?

 アナタに云われたくないわ。


 分かりっこないけど…私は、愛が可愛いの。

 苦しい時…愛には何度も、たすけられた……


 あの子を手放さなくて、本当に良かったって…

 今も、思ってる……」


「………」


 草司は深く、頭を下げる…


 有難う…

 感謝します…

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