第18話

 其等は、時を重ねるに連れて、向上して行った―添えられた手紙と、同様に。


〝珠実様


 仮出所が決まりました。

 あなたとの約束が、やっと果たせます。

 子供の事…僕から訊いても、いいでしょうか?

 返事は、出所後で構いません…それでは。


 草司〟


 ペン習字その儘の、綺麗な筆致で綴られた、草司の手紙…


 それは、義務教育すらも碌に受けられなかった彼が、「高卒」に認定される迄に成れた、証でもある……


「………」


 珠実は終始、草司への返信どころか―彼とは一切、関わる事は無かった。

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