第24話 新魔法・氷結!
ただまあ、うん。わかってるよ。わかってる。昨日、仕事を全部無神原に任せてないで、その間に僕にできることをやっておくべきだった。うん。
イメージを変えられればもうそれでいいかな。
「キラースクリーマーです!」
:諦めたwww
:受け入れたのかな
:よ! 日本一!
:もう世界一よ
:平気で同接1万は超えてるしな
:日本の宝、キラースクリーマー!
「はいはい。キラースクリーマーちゃんですよ。今日も配信していこうと思いますよ。場所は変わらずダンジョンです。ですが、今回は新しい魔法生成AIをお見せしようと思います」
切り替えが大事。
ということでコメントの流れも確認しつつ、ひっそりと足を進めて、モンスターに逃げられないように接近していく。
:気づかれたら逃げられるからコソコソしてるのおもろいな
:モンスターよりモンスターだからなw
:ここまでやってて忍者ではないのか
:忍者っつーかクノイチか
:何はともあれスカーフじゃないのな
「そう。正解。今回はスカーフじゃないんです。形状はまあ、言及しませんが、とにかく新しいんですよ」
:なぜ濁した
:そんなに小型化したの?
:もしかして全身が?
:なんかちょっと様子が変じゃない?
:でも見かけは変わってないよな
バレてない。大丈夫。僕の服装はあくまでダンジョン探索用の装備、に見えているはずだ。レオタードはバレていない。
ということで、ドローンの画質でもモンスターがはっきり見えるところまで移動して準備完了。さあ、魔法をぶっ放してやろうぜ。
とはいえ、無神原に言われたことだが炎熱系の魔法はまだしも、他の魔法の使い方はわからない。
いや、使い方も何もないだろう。現代は使いやすさ重視。なんとなくの感覚で使えないと買ってもらえない。だったら使い方は同じはずだよな!
「『アイス』!」
イメージと簡易的な詠唱。その音でモンスターが怯えたようにこちらを振り返った。感情なんてわかるはずのない顔に恐怖が浮かんでいる気がしたが、そのモンスターを対象に魔法は問題なく発動する。
一瞬にして、ダンジョンの壁や天井、床が凍りつき、同じようにモンスターもまた氷の彫像へと変わり果てた。
口うるさく無神原が言っていたが、魔法を使ったとわからないくらいのラクさに加えてイメージしていた以上の出力。
「おおっすげぇ。ここまでとは思ってなかった」
『そんなことないってぇ』
:AIが照れてるぞ。どういうことだ
:こっちもかわいい
:いや待てよ。そんなことより映像の方だろ。これはさすがに合成だろ?
:今さらなんだよなぁ
:合成するにしても違和感がなさすぎる
:昨日の鉄溶かすのよりすごいの?
:わかりやすく巻き込まれた即死だろ。範囲おかしいし
:マジじゃん
どうやらすごさは伝わっているらしい。
正しく伝わっているかはわからないけれど、うんうん、これで炎も氷も操れるウィザードですよ。
:なんかキラースクリーマーちゃん楽しそうだなぁ
:あんな短い詠唱でもこんななるの?
:だから普通はあり得ないって。Gランク探索者がやれることじゃない
:Gランクでこれは価値観狂うな
:これ、キラースクリーマーちゃんのランク設定ミスってないか?
「あ。そうそう。僕、Fランクに上がったんですよ。見て下さいこれ!」
報告忘れを思い出し、探索者証をカメラに映す。
:はやっ!
:いや、遅いのでは?
:なんかキラースクリーマーちゃんのやってる内容だとランクが追いついてない感じがするよなw
:それで魔法生成AIもレベルアップ?
『そうじゃないんだなぁ。これが、サポートAIとしての力を高めるために、探索者殺し博士は日夜研究を進めているのだ』
:でも昨日はまだ炎熱系の魔法しか使えなかったはず
:まさか一日でこれを?
叫ぶ民の長:おおっ! 叫びが届いた!
ドッグハンター:早く届けていただきたいところ
ルミナスウォーリアーズ:一日の改良でこれですか?
「一日の改良でみたいです。な」
『もちろんだとも。日々進化する。それが私、サポートAI』
相変わらず何キャラかわからないが、強化されているのは事実。
僕としてもどんどん使える魔法が増えないかとワックワクしてきている。
:ってか普通に大きい組織がコメントを残してるんだがw
:注目されっぱなしですね
:やっぱりかわいいからなぁ
:実力もあって見た目もいいし
:どこも欲しがりますわ
「も、モンスターいないっすねー」
何もしていないと変なコメントが流れ出しそうだったので、探索を再開。今のところ氷漬け一発なので、床面を滑って移動しつつモンスターを探す。
:今ので全部逃げたか倒したんだよ
:こんな遠足みたいにダンジョンを闊歩してる探索者初めて見た
:同じダンジョンを攻略したくないなぁ
:しかし、半分以上は起きたこと受け入れてるの面白い
:受け入れてるんじゃない待ってるんだよ!
しかし、活躍が一回じゃ、また無神原が不機嫌になるよな。
あれはあれで無神原の味だと思うが、とは言っても連日となるとさすがに少し面倒ではある。ということで、ダンジョンがもう少しで攻略されるということから、事前に明尾さんのほうから教えてもらっていた上層第一カンモンへとするする到着。
トール・ゴブリン、というような、名が掲げられたネームプレートが見えてきた。
「さあ、カンモン攻略配信といきましょうか」
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