第71話

 カウンターに突っ伏した、彼の肩が震える……。


「………」


 店の外には、量大の声は聞こえない…


 僅かに彼の背中が、ショーウィンドーの硝子越しに、見えるだけ―


 だが…其処に佇む小雪には―彼の想いが、痛い程分かった……


 心優しい量大が、別れを切り出すには―


 全てを否定し、無かった事として終わりにする、言動を取るしかなかったのだ…


 弥増して、小雪の胸は潰れた……。



「小雪…

 早乙女くんとは、別れたのね…?」


「………」


「小雪……」



「御父さん―

 只今、帰りました…」

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