第24話

 悠庵の往診時刻にあたる渡し舟には、彼以外の客は居ない―二人切りの舟の上で、彼等は常の如く、茶菓を口にしつつ、言葉を交わす……


「本当に…貴方には、感謝し尽くせません……

 私が、遠島えんとうに処されていたかん…ずっと、さえに心を配って下さったそうですね…?」


「ああ…そうしたかっただけですよ?


 それよりも、医師せんせい

 その言葉を伝える人は、他に居るでしょう……」


「……」


「分かってますよね?


 さえ医師せんせい

 宛もないのに、毎日、毎日…

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