娘に希(こいねが)う、男

第7話

 さえの療養所は、評判の良い養生所で―彼女を師と仰ぎ、助手を務める、男女二名の医師迄も居た。


 其処に突如として現れた、得体の知れぬ、不気味な刺青の男…無論、誰一人として、歓迎する筈も無い……


 しかし、さえは凜然と、悠庵に就いて云い切った。


「この方は、私の恩義ある、大切な御方です…


 冤罪を掛けられた上に、身体からだの健康を損なわれたのです……


 快復されれば屹度、私を助け…支えて下さいます……


 ですから、それ迄は、どうか……」

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