第58話

 しかし、奏逸朗が姿を見せるなり―同僚達が、彼を取り巻いた……


「周君…君は、アメリカツアー組だったから、直接は知らないだろうが…

 家の方は、大丈夫だったかい…?」


「え…?


 はい…」


 そう、答えるしか無い…そんな自分が疎ましいばかりの、奏逸朗……。


「おは…どころじゃないな?(嘆息)


 そうそう!

 日本こっちは、大変だったんだよ?奏ちゃん…(啼泣)」


「………」


「『交響楽団』の『管弦楽器奏者』で、『26』の『A・S』が…

 女子中学生を拉致って監禁暴行した、『元少年E』だってデマが流れて……」

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