第12話

「………」


「ハイ、おしまい。

 ホラ…アタシの話、退屈でしょー?(笑)


 アナタのコトでも…少し話してみたら?」


「……」


 相変わらずの硬い表情で、押し黙る奏逸朗…

 しかし彼は、意を決した風に、スッとち―客用スペースに吊り下げている、深緑色のソフトスーツの、上衣の内ポケットから封筒を取り出し―花音に差し出しつつ、云った。


「僕…コントラバス、弾いてます…!


 コンサート…聴きに来て下さいっ…!

 よかったら…(恥)」


「…クラシック…?」


 花音は、封筒を開けた―


〝JBM交響楽団

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