第10話
花音は、私物のインスタントコーヒーを、再び―今度は、茶菓子も添えて―奏逸朗に供した。
「コレ、アタシが焼いた、クッキー…プライスレス(笑)」
「あ…かわいい…」
クッキーを「可愛い」と云う、奏逸朗が…花音には、可愛かった。
そして、それを口にして、顔を綻ばせる、彼も……。
二人の初めての出逢いは、そんな意外なものだった。
それで終わりだと、花音は思っていた。
それなのに…奏逸朗は再びやって来て、彼女を指名したのだ……。
「…あのっ…!?
『サービス』は、結構ですから…!
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