case1 刑事になった日

第4話

「…はあっ、…は、」






警察官になって3回目の春。



春うらら。桜舞う気持ちのいい今日は私の夢の一つが叶った日だというのに、何故か私は裸足で硬いアスファルトの上を駆け抜けていた。



頭の中で反芻するのは先程出会ったばかりの男の顔で…。



地面にへたり込む私に暴言を吐いてから全速力で駆け出した彼は、今ごろどこにいるのやら。





く、くそぉぅ……絶対、追いついてやる…。

そして、絶対にさっきの言葉を撤回してもらうんだ。





私が何故、下ろしたてのスーツに汗を染み込ませながら、必死の形相で住宅街を疾走しているのかといえば、それは時を数時間前に遡らせる必要がある。







ー case1 刑事になった日 ー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る