第2話 モテない奴とモテる奴
さて、学校が始まって数日。俺達、3人の中に裏切り者がいる。男としてある種格付けの様なものがある。
いや格付けというか勝手に感じている劣等感なんだろう。俺と健二はその光景に敗北感を感じていた。
「おい。これは由々しき事態だ」
「間違いねぇ。一体絶対何がおこってやがる」
俺たちの視界に映る光景、それは圭が数人の女子と話している。しかも昨日圭がイイと話していた村瀬さんに健二の推しである茅野さんが話している。
「茅野さんは俺と成瀬は去年同じクラスだったからいいとして、村瀬さんは何繋がりだ?」
「多分茅野さんと村瀬さんは部活が同じなはず。にしても昨日、可愛いって言った人から来るとか。負けたわ」
「ほんとだよ。俺なんて茅野さんと1年同じだったのに殆ど話したことないんだぜ?」
悲しそうな顔をする健二と楽しそうにしている圭の対比が凄く残酷だった。正直、羨ましいし悔しい。
持たざる者ならぬモテざる者である俺たちは圭と周りの女の子を眺めるのが精一杯だった。
「別に健二はコミュ障って訳じゃないだろ?」
「もちろんね。でも話す話題もないしよ、がっついても引かれて終わるだけだしな」
「そりゃあね。なんかの行事ならまだしもね」
「なら中間終わった後の球体だな。今焦っていくよりのんびり行くべきだな」
はあとため息を付きながら鬱屈とした休み時間が終わって、そのままなんやかんや1日の授業が終わる。
元々は圭とサッカー部に入っていたけど 1年で辞めたし、別にバイトもしてない。健二はバスケ部でさっさと部活に行ってしまった。
また圭は女の子と話しているし、学年が変わってそうそうに暇が訪れた。
「楓ー。ちょっと待って」
帰ろうと教室を出ようとすると圭に引き止めたられた。
「女の子と話さなくていいのか?可愛い村瀬さんと」
「話してたいけど殆ど初対面だもん。それでこれ。クラスチャット。作っておかないといけないってことでさ」
「あー。そいえばそういうのあったな。去年は殆ど動かなかったけど」
「女子の方は茅野さんが集めてくれるみたいだから僕は男子を集める役ってこと」
「はいはい。どーも」
「なんか不機嫌?」
「別に。健二は俺が招待しとくわ、勝手に入れたればいいだろ。ほんじゃあな」
ちょっとクラスチャットのことで立ち止まっていると、後ろから肩を叩かれる。
「なん…あー中野さん。どうしました?」
「いや、そこ出入り口だから」
「あ、ごめんごめん。邪魔だった?」
「まあ。私行くから」
ロングの髪の間から耳に着いた透明ピアスが目に入った。意外と中野さんって校則破ったりするんやな。なんか親近感湧くわ。
ピアスは痛いから開けてないけど、ルールに囚われない的な所とか結構良いよな。でもあの人、すごく素っ気なかったな。まあ初対面ってのもあるか。
俺も中野さんに続いて教室を出て帰路に着く。廊下にいたろくでもない類友と目が合った。
「お!黒崎だ。最近調子はどうよ」
「おい
人差し指と中指を立てて口の前に持っていって数回前後に動かす。
「お前の肺が黒崎になるのを心配してんの。それで次の飲みはいつにする?」
「もう部活やってねえからいつでもいいぞ。どうせ調達からなら俺が買わねえとだろうが」
「まじありがとうございます。今日いける?
「おけえ。今度これ奢れ」
「お前もやるんかい」
タバコのジェスチャーをすると和樹はツッコミを入れて笑っていた。また歩き出すと前にいた中野さんが俺を見ていて目が合った。
間違いなく今の会話は聞かれてたしなんならジェスチャーも見られた。さよなら高2の1年間。
「まじで奢れよ…」
モテない俺は運も持っていないらしい。
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