第4話

***





ざわつくファミレス店内。

ドリンクバーの炭酸が入る、グラスのふちを水滴が伝う。




目の前から注がれる哀れみの瞳が、恐ろしく痛い。





「心愛、それは完全にノーでしょ。」



「...んもぉー、うるさいな。」





コップに入った炭酸にブクブク息を吹き込みながら、睨みあげたその先には、




「うわ、汚な。」と小さく呟いて、顔をしかめる、



親友、倉崎礼羅くらさきれいら



かなり口が悪いのが、たまに傷。

てか、傷だらけ。





「だってだってだってー

次会えたらって言ったんだよ?

期待しちゃうでしょ、ふつう!」




恋する乙女だもん。



大好きな先輩の怖いくらい綺麗なあの顔で

あんなこと言われたら...



いくら、思い出告白でも、一発KO。

ノックダウン。






思い出しては、頬を染める私に

はぁー、と呆れたため息をついて。





「…だから?だから待ってました。

ってわけ?軽い女ねー?」



「う、運命を...信じてみようと...」






全うなご意見に言葉を詰まらせる。


再び、おーーきなため息と共に降ってきたのは。







「あんたの乙女思考、糞だね。」



...これだ。




くそ、くそって!



いやいや、そんなはしたない言葉使う方が糞ですよ、おねぇさん!



心のなかで全力抗議していたら、




「だまれ、恋愛初心者!」




って。




「…えー、何も言ってないんですがぁ。」



心で思っていただけでね。




「目が語ってるのよ、目が」



「...」




我が日本国憲法では精神の自由が認められているはずなのですが、どうやら私は例外らしい。





口を尖らせて彼女を睨み付けると、ふふんと得意気な笑み。



よりにもよって


"恋愛初心者" だなんて。たちが悪い。




こんな過去がなければ...私だって、ね?

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