第10話

「け、ケーキ作ろーっと!」



真っ赤に染まった自分の顔をごまかすため、わざと大きめに出した声。



でも…そんなので治まるはずもなく。



不意討ちってずるい!



はあぁあぁ…

落ち着け、自分っ!



とにかくケーキ作ろっ!




――――


―――――――









「卵いっれてぇ~、ぎゅうにゅいっれてぇ~♪」






うん。

お菓子作りって和むねぇ~



いつのまにか、疾風も忘れてお菓子に没頭し始めていた私。





「混ぜてぇ混ぜてぇ混ぜ―…」




「アホッぽい歌ぁ。」




ビクッ


その声に驚き、隣を振り向くと、生地をなめる疾風。




「あぁ!食べちゃダメだよ!」



「なんだよ。」



疾風を押して、生地の入ったボールを死守する。



だって、疾風いっつも食べすぎて生地無くなっちゃうんだもん。



「疾風、なんか用事?」



お腹空いたのかな?なんて思って、冷蔵庫に向かおうと…したんだけど。



「いや…その、なんでもねえ。」



なんだか意味ありげなその反応。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る