第6話
「いいんだよ。自分のことは自分でやるのが俺のモットーだから。」
「出来てないくせに。」
「うるせーな。お前が細かすぎるんだよ。そんなんじゃモテないぞ?」
っ!ひどい!そういうこと好きな人に言われたら傷つくんだからね?!
「急ぎの伝票はこっちで修正して回してあげたのに…なにその態度!
会計検査で引っかかる前にミス見つけてあげてるんだから感謝しなさいよね!」
「あ、あれ回してくれたの?
ありがと、ありがと。」
「軽い!」
批判の声を上げる私を無視して、腕時計を見た三船は少し焦った様子で「軽いついでにもう一つ。」と両手を合わせる。
「この後、新規案件のアポ入ってて、すぐ行かなきゃなんだよ!
請求書の日付いれて回しといて!」
「え……ああ。」
珍しく下手に出る三船に調子が狂い、素直に「いいけど。」と答えると、ぱあっと表情が明るくなる。
「サンキュー!じゃあ、よろしく!」
「受付印と一緒でいいよね?」
「任せた!」
「あの、…頑張ってね」
勇気を出して応援の言葉を呟けば、
「…っ!」
「じゃあな!」
ニカッと笑った三船が、私の頭に手を置き、髪をぐしゃぐしゃにして、エレベーターに向かって走っていった。
一瞬呆然として、エレベーターに乗り込んだ三船に向かって「もう!」と叫ぶが、そのままドアは閉まってしまった。
「くっ、このチャラ男めぇー」
不意に髪触られて…ぐしゃぐしゃにされて、ムカつくのに…
悔しいけど激しく胸キュンしてしまって、ブラウスの胸元を右手でぎゅっと掴む。
誰にでもこうするの?ってムカつくのに…彼が好きすぎてつらい。
「昨日トリートメントしててよかったぁ…」
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