第2話

週半ばの昼下がり。



書類の数字とにらめっこしながら、うつらうつらし始めた私は、自前のマグカップを手に席を立った。




そのまま執務室を出て向かうのは、廊下の端にある給湯室。



あんまり好きじゃないけど、コーヒーでも飲んで眠気を覚まさなきゃ。



ランチに社食で食べたAランチのせいだな、これは。お腹が満たされすぎて、幸せな眠気。




女の子ならヘルシーなレディースランチを食べる人が多いんだけど、私は断然ガッツリ系のAランチ派。



味よしコスパよしで素晴らしいんだもん!




まあ、毎日食べると効果てきめんでお肉がつくから、時々の楽しみなんだけどね…。




なんて、頭の中でどうでもいいことを考えていると、「あれ?!」と、小さく驚いたような女性の声が耳に入る。





「三船くん!なんでこんなとこにいるの?」




……三船っ?




その名前に肩を揺らして、条件反射的に声の方に目を向けると、




「お疲れ様でーす!経理に用あって。」




爽やかに笑顔を振りまく三船悠真みふねゆうま



私の想い人がいた。

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