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弟とそういう関係になってからは、色々と大変だった。周りの目は勿論の事、弟からの要求も日に日に増すばかりで気苦労が絶えなかった。
まぁ、元はと言えば自分が撒いた種なんだけど……。
だが、一度はまり出した泥濘は早々容易く抜け出せ無いのもまた事実。
「ねぇ、兄ちゃん……」
弟に委ねられれば慾り、自身の欲を無我夢中で吐き出した。その行為がたとえ赦されなくとも、犯してしまった過ちは消せはしないのだからと。自身の身勝手さに嫌気を感じはしたものの、自己肯定を忘れられなかった。
それほどまでに俺は、弟を────。
「どうかしたの?」
心配そうに声を掛ける花嫁姿の彼女に顔を向ける。
「いや、別に…大丈夫だよ」
何でも無い様に振る舞い、笑みを見せた。
そう。
何でも無い。
あれは気の迷いだったんだ。
弟が女装していたから、たまたま手を出した……ただそれだけ。
まだ彼女もいなかったし。
童貞だったし。
まさか俺が本気で弟を愛していたなんて……そんな冗談、笑えるだろ?
胸元に隠し入れていたサプリメントをすかさず飲み込み、水を一口飲んだ。
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