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お母さんが捨てた白いワンピースを着て、頭にはレースのカーテンを被り、口には真っ赤な口紅を塗る。鏡に映る自分に笑い掛けてワンピースを手繰り上げながらお辞儀した。
「アハッ。結構似合うじゃん?でも、なんか足りないなぁ…おっ、そうだ!」
徐にお母さんの化粧台を漁り、引き出しに入っていた真珠のネックレスと耳飾りを身に付ける。
「よし、完璧!」
クルリと回って鏡の前から走り去り、リビングにやってくると着ていたワンピースの裾を綺麗に伸ばして足を止めた。それからスゥと息を吸って微かに微笑む。
「ぱぱぱぱーん……」
口遊む結婚式の行進曲に合わせて素足のまま白い絨毯に足を乗せる。一歩一歩とテーブルの上に乗せられたロボットの前まで歩いて立ち止まり、ロボットの目の前に置かれた開かれた本と玩具の指輪、赤い葡萄ジュースを見据えた。テレビでやっていた結婚式を真似るみたいに、自身の薬指に兄ちゃんが買ってくれた指輪をはめ、それにキスをしながら無機質なロボットに告げる。
「病める時も健やかなる時も、僕は──────」
新郎の居ない結婚式に、僕はクスリと笑った。
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