第5話 見つけた
いつものように最寄り駅から自転車で家に向かう。
もうすぐ家に着くというころ、視線の前方に犬の散歩をしている男性が見える。
僕はぶつからないよう、少し後方から距離を空け
男性の横を通り過ぎようとした。
何となく気になって、追い抜きざまに視線を男性に移した。
あっ!あぁー!
あのときの綺麗な人だ!
僕の心臓はドキンと高鳴る。
どうしよう、こんな近所に居たなんて。
犬の散歩ってことは、間違いなく近所だよね。
やっと会えた。
僕はどうしても見たかった。
あの綺麗な人のこと。
性別なんて関係ない。
理由はわからないけど、ただ見たかった。
あー、このまま自転車で通り過ぎてしまったらもう見られない。
でもこんなとこで止まったらただの変態になってしまう。
どうしよう。
もったいない。
次にいつ見つけられるかわからないのに。
僕は諦めた。
変態だと思われたくない。
このまま家に帰るしかない。
そう思いながら、自転車を前に進めた。
僕の心臓がずっとドキドキしたままだ。
ドキドキしたまま家に到着する。
何だろ、この気持ち。
ほんの一瞬見られただけで、ここ1ヶ月のモヤモヤが晴れた。
珍しいものを見つけたときのような感覚。
今日は気分がいい。
バイト、がんばろっと。
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