綺麗な人
月夜のねこ
第1話 僕の日常
僕の名前は
大学に通っている。
母子家庭で育ったから、お金を貯めたくて高校のときからずっと同じスーパーでバイトをしている。
兄弟はいない。
ひとりっ子。
ここのスーパーに決めたのは、家から自転車で10分とかなり近かったから。
高校生の頃、母さんにバイトしたいと言ったら、
家から近いところ、居酒屋NG、深夜NG、その条件満たしたとこじゃないと許可できないと言われた。
母さんの許可が出たのがこのスーパーだった。
地域密着型でとても小さい。
だけど、朝9時から夜9時まで、田舎のスーパーにしてはがんばっていると思う。
客層はほぼ高齢者とファミリー世帯が多い。
独身者らしい人の姿はあまり見かけない。
高齢者が多いせいか、困っている客はよく見かけても、クレーム対応をしなければいけないような客はほぼいない。
僕がシフトに入る夕方から閉店までの時間のメンバーは、歳の近い人が多い。
僕も含め大人しい感じの人ばかり。
そのおかげで、平和で長く働けている。
昼は大学、夕方から平日週5でバイトしている。
僕は目立つようなタイプじゃない。
小学生の頃から、現在に至るまでクラスの最下層にいる。
ひとりっ子だったせいか、集団生活が苦手だ。無理をして人に合わせることが苦痛。
だから、できる限り気配を消して過ごしている。
勉強も、スポーツも普通。
部活のサッカーでも晩年補欠。
女子にキャーキャー言われることもない。
当然、女子との関わりもないまま今に至る。
さすがに中学生にもなると、気になる女の子ぐらいはいた。
でも、見てるだけ。
話しかけることも、話しかけられることもなく卒業。
高校生になってからは、そもそも恋愛というものに自然と興味が無くなった。
学校はただ勉強しに行くだけの場所、あとはバイトに趣味の映画鑑賞。
これだけで僕の世界は十分楽しい。
映画を観ながら、自分に置き換えて疑似体験している感覚になる。
そこで到底僕にはありえない非日常を味わう。
それだけで満足だ。
休日は一人で映画館に行くこともある。
できるだけお金を貯めたくて、ほとんどは家で観ることが多いけど。
僕の日常は、勉強とバイト、映画で成り立っている。
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