綺麗な人

月夜のねこ

第1話 僕の日常

僕の名前は斗真とうま、21歳。

大学に通っている。

母子家庭で育ったから、お金を貯めたくて高校のときからずっと同じスーパーでバイトをしている。

兄弟はいない。

ひとりっ子。


ここのスーパーに決めたのは、家から自転車で10分とかなり近かったから。

高校生の頃、母さんにバイトしたいと言ったら、

家から近いところ、居酒屋NG、深夜NG、その条件満たしたとこじゃないと許可できないと言われた。

母さんの許可が出たのがこのスーパーだった。


地域密着型でとても小さい。

だけど、朝9時から夜9時まで、田舎のスーパーにしてはがんばっていると思う。

客層はほぼ高齢者とファミリー世帯が多い。

独身者らしい人の姿はあまり見かけない。


高齢者が多いせいか、困っている客はよく見かけても、クレーム対応をしなければいけないような客はほぼいない。


僕がシフトに入る夕方から閉店までの時間のメンバーは、歳の近い人が多い。

僕も含め大人しい感じの人ばかり。

そのおかげで、平和で長く働けている。


昼は大学、夕方から平日週5でバイトしている。


僕は目立つようなタイプじゃない。

小学生の頃から、現在に至るまでクラスの最下層にいる。

ひとりっ子だったせいか、集団生活が苦手だ。無理をして人に合わせることが苦痛。

だから、できる限り気配を消して過ごしている。

勉強も、スポーツも普通。

部活のサッカーでも晩年補欠。

女子にキャーキャー言われることもない。

当然、女子との関わりもないまま今に至る。


さすがに中学生にもなると、気になる女の子ぐらいはいた。

でも、見てるだけ。

話しかけることも、話しかけられることもなく卒業。


高校生になってからは、そもそも恋愛というものに自然と興味が無くなった。

学校はただ勉強しに行くだけの場所、あとはバイトに趣味の映画鑑賞。

これだけで僕の世界は十分楽しい。


映画を観ながら、自分に置き換えて疑似体験している感覚になる。

そこで到底僕にはありえない非日常を味わう。

それだけで満足だ。


休日は一人で映画館に行くこともある。

できるだけお金を貯めたくて、ほとんどは家で観ることが多いけど。


僕の日常は、勉強とバイト、映画で成り立っている。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る