第10話

「大和、龍怖すぎなんだけど!」


「あぁ、だって起きたの30分くらい前だし。」



「は!?起きて1時間以内の龍を外に出しちゃダメだろ。」



 いや、これ冗談じゃないんですよ。


 朝練とかバスケ始めれば機嫌良くなるけど、基本龍は目が覚めて20分しないと起き上がらないし、完全に覚醒するまで1時間はかかる。



 普段から無口だけど、覚醒前の龍は無口とかそんなレベルじゃない。



「いや、でも沙耶ちゃんいるし平気かなって思って。」



「よしっ、沙耶ちゃん龍のご機嫌取ってきて?きっと沙耶ちゃんなら大丈夫だから。」



「えっ、えっ?///」


「あーキョウ、話あんだけど」


「あ゙ぁ?慶輔てめぇ、さぁやを…」


「玲奈さん、の話なんだけど?」


 レイナ、という名前に結城先輩のこめかみがピクリと動いた。



「…さぁや、ちょっと慶輔と話してるから。」


「あ、うんっ。」



 慶輔先輩が結城先輩の肩に腕を回して部屋の奥へと歩いていった。



「沙耶ちゃん、行っておいで?」


 この前龍と大和の部屋で奇跡を目の当たりにした俺も、安心して送り出せた。


 案の定、龍は沙耶ちゃんが声をかけると笑顔になって。



「…龍も、オイシイよなぁ。」


「全く。」

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