第7話

*Kyohei side*



「恭平~、沙耶ちゃんが男と歩いてたぞ♪」


 心底楽しそうな声でやってきたのは要さんだった。




「…慶輔と晃司でしょ。知ってますよ。」

「ふーん…ずいぶん冷静じゃん?」

「別に…」




 さぁやの、元気がない顔を見るのがつらかった。しかも、そんな表情をさせてる原因が他でもない自分だってことが。




 だから、俺が慰めることはできなくて…多分、慶輔と晃司もなんとなくわかってさぁやを誘い出したんだろう。





 俺だって、自分からあんな話、したくはなかった。



 自分の弱さを、無力さをさらけ出して…さぁやが動揺するかもしれないと、わかってても。

 それでも俺は、さぁやを守るためだったら何でもする。さぁやがずっと笑顔でいられるなら…



「ま、いいならいいけど。それより、シュンか優介どこにいるか知らない?」



「…さぁ。」


「…ふぅん。どっちのケータイも繋がんないから、どうせシュンが逃げられたか一緒に隠れてるんだろうけど…」



 かくれんぼする年じゃないのにな~、と言いながらも要さんは急いでる様子が全くない。



「…探さなくていいんですか?」


「ん~?まぁその内出てくるだろうし、用があるのは朱李だから。」


 そんなことより、と話を変える要さんの笑顔にため息をつきそうになる。絶対ろくな話じゃないから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る