☆プロローグ☆

入学前から前途多難!?

第1話

「さぁやっ、緑峰リョクホウ行くってホントなのかっ!?」


 寒い中にも桜が芽吹き始めた3月のある日、一軒の家に滅多に聞こえない大声が響きわたった。


「キョウちゃん…うん、黙っててごめんね」


 叫ばれた少女は困ったように謝りながらも穏やかな表情をしていた。

 それとは対照的に男は珍しくうろたえる。


「なんでだよっ、お前桜華オウカ受かったって言ってただろ、春から同じ高校行けると思ってたのに…しかも緑峰受けてたなんて初耳だぞ!」


「ご、ごめんね。私もキョウちゃんと同じトコ行きたかったんだけど、友達が緑峰にいっぱい行くし、その…近いし」


 しかし男は途中から少女の声が聞こえていないようで、がっくりとうなだれている。


 ちょうどその時、チャイムが鳴った。

「ちょっと待っててね」

 少女はそう言って玄関へと走っていった。


 しばらくすると、にぎやかな足音、話し声がして4、5人の男たちが部屋に入ってきた。


「よーキョウ。あれ、なに落ち込んでんの」

「ホントだ。沙耶ちゃんとケンカでもした?」

「俺らヤバい時に来ちゃった?」


「あの、実は…」

「……れ」


 少女、沙耶が説明しようとした時、それまで黙っていた男、恭平が口を開いた。

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