第5話 0日目 会話

りゅうさんに名前を付けてもらった。らんって名前。

きれいな名前。わたしは本当に幸せ者だ。


『ところでらんちゃんは、女の子だったんだね。』


「はい!…もしかして嫌でしたか?」


『別にいやってわけではないんだ、ただ金魚の性別を見分けることなんて、できなかったから吃驚しただけだよ。』


「そうなんですね、嫌だったらどうしようって思いました。」


良かった。嫌われてるわけではないようで。

少し不安だった、これで嫌だなんて言われたらもうどうしようもない、一週間を過ごすことになってしまうところだった。


『というか何で人間の姿に?』


「信じてもらえないかもしれないですけど…神様に人の姿にして頂きました。一週間だけ。」


『へえ、そんなことが…。まあ、あるのかな…。』


「信じてくれるんですか?」


『だって、自分のペットが人になってるんだからさ…。まあ、あるのかなって…。』


「そうですよね、信じられないことがいっぱい起きてる状況ですもんね。」


『ほんとだよ。まあ、一週間後に嘘か本当かわかるんでしょう?水槽に金魚が入っていれば。夢じゃなく本当の出来事だったって。』


「ふふ、そうですね。」


そうは言っているけど、少し寂しいよ。金魚に戻るときには全てなかった出来事になってしまう。私の記憶は消えてしまうんだから…。


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