一閃の問わず語り

一閃

第1話10月3日

一閃は、ひらめき、ひとすじの光等の意味を持つそうな。

昔、由比ヶ浜で厚い雲間から差したひとすじの光を思い出しました。天使の階段と表現する人もいますね。

一昨年、自身は意識不明で救命に搬送され、一瞬うっすら意識を戻した時、7割は危ないと告知されましたが、Dr.の懸命な治療やスタッフの献身な看護で救われました。死にそうになっても、自身には誰1人として駆けつける家族もおらず、天涯孤独を突き付けられました。後遺症で片耳の聴力を完全に失い 、他にもいくつかの後遺症を抱えた死に損ないは、その数ヶ月後、先に入院してた最後の家族を看とりました。今までの自由が不自由に変わり、それを受け入れ切れぬままの看とりはツライし後悔しかありませんでした。何度も謝ったとて戻るものでもないし。

そんな時に、今まで「何でも相談して」「福祉を頼ってください」等々、百花繚乱だった優しい言葉も両刃の剣で、役に立つどころか自身を傷つけてきました。福祉はお世話になるんじゃなくて、利用するものです。粛々とルールにのっとり運用するもので、それ以上でも以下でもないことを学習しました。そこに感情はいらないと思いました。かえって、普段クールだったり、ビジネスライクな人が最後まで諦めずに動いてくれたのが現実でした。

自身は今、「自分は優しい」と言う人は信用しません。「優しくありたい」と言う人は信用します。

そして、どんな資格を持とうと、他人の人生に責任は持てないのだから、有資格者だからこそ言葉を選び、寄り添うことを忘れないで欲しい。あなたかから見ればその他大勢のクライアントでも、こちらから見たら、たったひとりのあなたなんだから。

自身は「一閃が死なない程度の事は最低限しないとね」と言われたことは忘れない。あなたが何故その資格を取り、福祉や医療の最前線で働く事を選んだのかを思い出して欲しい。アナタも一閃も人生は一度だけ、これだけは公平なのだから。

ひとりになろうとも、病を抱えようとも、障害を抱えようとも、貧困の苦しみの中にあろうとも、心に苦しみを抱えようとも、それでいいと言う人生はない。1日でも、1秒でもいいから、ホッと息をつける瞬間、クスッと笑う瞬間を味わえるようにと祈りたい。


自身は「人生80%は大変なことよ。だけど、一閃に生きてて良かったと言わせたいの」と、諦めずに係わってくれてる人を信じたいし、その人たちを裏切ることはしたくない。そして甘い言葉で傷つけて来た人たちに、傷をつけずに「まだ生きているよ」と復讐するためにも生きてるのです。自身が逝っても「あら、死んだのね」と言われて終わるのは目に見えているから。


くじけそうな夜は坂口安吾の一説をつぶやきます。「不良少年とキリスト」一部抜粋で紹介します。「是か非でも、生きる時間を、生きぬくよ。決して負けぬ。負けぬとは、戦うことです。それ以外に、勝負などありやせぬ。戦っていれば、負けないのです。決して勝てないのです。人間は、決して、勝ちません。ただ負けないのだ。勝とうなんて思っちゃ、いけない。勝てる筈が、ないじゃないか。誰に、何者に勝つつもりなんだ。」


生きてるだけで、負けてないのだと信じたいのです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

一閃の問わず語り 一閃 @tdngai1

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ