十八の下 竪子、ともに謀るに足らず!
翌日。
張良は、
張良は、項羽に対面し、丁重に礼をした。
「
そこで、代理として私が、大王様に
そして張良は、貴重な宝の数々と伝国の
それらの宝を、項羽は机に並べて、じっくりと鑑賞した。
どれもこれも、すばらしい品ばかり。ただ一点の
項羽は限りなく喜び、数ある宝の内から、一つを選んで持ち上げた。
それは、
古代より、中国では
項羽が手に取った
名付けるならば、照星の玉斗。
この世に二つと無いかもしれぬ、まさに、至上の逸品であった。
その玉斗を、項羽は、
「これは本当にすばらしい。まことの珍宝だ。
ここまで力を尽くして働いてくれたお礼に、この
その……瞬間、であった。
「クソガキめッ! ともに
ついに爆発したのだ。ここまでずっと胸の内に溜め込み続けた
一度口に出してしまえば、もう止まらない。
「項羽! そなたの天下を奪う者は、間違いなく
「なんだと!」
項羽は怒った。
いや、悲しかったのだ。
深く深く信頼し、尊敬し、今や本当の父のように、祖父のように
それなのに項羽という男は、
「いくら先生でも、やっていいことと悪いことがあるぞ!
俺は主君で、先生は臣下。『臣たる者は、主君の馬車に並んではいけない』……いくら親しくたって、君臣の上下関係は守るべきなんじゃないのか!?
昔の言葉にもあるだろう。『主君が食べ物を
まして、こんな貴重な宝玉を! 俺が、先生に、あげたのに! いきなり砕いてしまうなんて、どういうことだよ!」
「よいか。昔、
これに対して、威王がどう答えたと思う?
『貴公の
このように、古代の人間は、宝ではなく賢者をこそ重んじた。
いま私が重んじているのは、
それなのに! 君は、この老人の言うことを聞かず、とうとう機会を
項羽は、たじろいだ。怒りから一転、今度は懸命に
「いや、先生、それは……考えすぎだよ。
だが
「昔、
また、
いま
張良が口を挟んだ。
「老将軍、なんてことを
まして、
文王や
項羽が言う。
「そうそう。
ぜんぜん心配はない。張良が言うことは、みんなもっともだ。
なあ張良、お前は、なかなかいいことを言うなあ。
「項羽将軍! つい昨日、張良を殺そうとしたばかりでしょう! それが
項羽は、カラカラと笑った。
「先生の考えが深いのは分かるけど、ちょっと考えすぎだよ。張良は一人の
「あからさまに害を為す者は防ぎやすいのだ。知らないうちにジワジワと損害を与えてくる者こそ予測がつかなくて怖い。頼む、分かってくれ、項羽将軍!」
しかし項羽は、まったく言うことを聞かない。
項羽は、腰に
「この
項羽は、なぜこれほど
彼の意識の奥底で、さきほど
結局……
なにもかも、張良の手のひらの上……
項羽の前から退出しながら、張良は一人、暗い微笑を浮かべていたのだった。
(巻四へ、つづく)
■次回予告■
圧倒的な武力をもって関中の実権を握った項羽は、かつての約束を
怒る
次回「龍虎戦記」第十九回
『覇王、項羽』
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