第4話 令和の時代から届く文

 やっほ〜、翡翠!


 元気ですか?


 こちらは春真っ盛りでさくらが綺麗だよ!


 今年は去年よりも早く

 さくらが咲いちゃって

 入学式まで間に合わないかもって

 言われていたんだけど

 ギリギリ間に合いそうでよかった!!


 翡翠の街はもうさくらは咲いたのかな?


 もうすぐ新学期が始まって

 ついに受験生になっちゃうよ〜。


 あ、わたしも

 とうとう塾に入ることになりました。


 塾というのは学校の授業の他に

 補習や進学目的で学びに行くところだよ。


 『寺子屋』っていえばわかるかな。


 ……あれ??


 『寺子屋』って言葉は

 そもそも平安時代にあったのかな……

 と思ったら、ごめん。


 もう少しあとの時代の話でした。

 (今、書きながら調べました〜)


 それでねそれでね……


−−−−−−−−−



 文面からでも明るい声が聞こえてきそうな、そんな元気があふれた一通の文に思わず笑ってしまう。


 丸っこい文字は今にも舞い始めそうに可愛らしく、文字の読めないわたしにも唯一この文字は読めるため、愛おしいとさえ感じた。


 この文はただの文ではない。


 見たこともない模様が施された和紙は便箋といって、封筒という袋に入れられている。


 毎回様々な絵の描かれたものに変わる。


 差出人の『陽葵ひまり』という女の子は自称、わたしたちよりの住むこの世界よりももっともっと先の『未来』の世界という場所で生きているそうで、時たま気まぐれに文机の引き出しを通じて彼女からの文が届けられた。


 そして、彼女からの文はわたしに届く、たったひとつの文なのであった。

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