第11話

「…さむっ」


ホテルの裏口玄関に着き、黒いピンヒールを履き直す。




白いタイトスカートの制服を整え、あまりの寒さに身震いした。



世間は12月の末。



観光地であるこの地元は冬になると忘年会シーズンのコンパニオンの仕事が必然的に増える。





「まじ寒い~。愛波最初から熱燗飲むのやめてよ?」


今日のメンバーのお姉さんのひとりがそういってあたしをからかってくる。


「一緒に初っ端から飲みましょうよ」



外職の席なんて酒飲まないとやってられない。



あたしは夜の仕事の時20歳設定で客に言ってるからアルコールも煙草も合法になるんだよね。



違法なことなんて分かってるけどみんなやってることだし。

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