第二部 生きる動機は利他的に。第34話~第54話

第一章 誰かを癒すことは難しい。

第34話 カウンセラーになるための軌跡。

 その日、志桜里は高校へと向かう電車の中にいた。

 学校への久しぶりの登校。制服姿の学生を自然と意識してしまう。

 こんなのじゃあ他人と関わるのが主軸の職業など、出来るのだろうか。


「だんだん慣らしていったほうがいいよね」


 その方法を考えながら、ふと電車のつり革付近にある広告を見た。


「いじめホットライン。番号074×―」


 それは、いじめられている青少年や児童が自殺を図る前に相談するサービスだった。


「こういうのやってみたいな」

 大学への面接で有利になるとかというよこしまな気持ちからではない。ただ純粋に学びたいと思った。

 一度は自分も自殺を考えた。それと似た境遇にいる人を多くでも救いたい。あの、香帆のように。

 スマホでそのホットラインを検索してみると自殺対策センターのNPO法人サイトが検索候補の上部にあった。タップしてみて詳しい求人を見てみる。

「難しそうだな。でも挑戦することが大切だよね」


 そう思い、募集要項をスマホのメモアプリにコピペした。




 

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