赤ん坊
こんな話を聞いたことがある。
ある山村で昔、赤ん坊の幽霊が至る所で出現すると。
それも何もせず、おぎゃあと泣くこともなく其処にいるだけなのだ。
私はその村の出ではないが、あるとき住み込みの仕事でその村に住まわせてもらったことがある。
私はその村の小さな駅からロータリーに行き、バスを待つ。バスは出発し、私はのどかな山間を見ていた。
田んぼに挟まれたその道にある供養塔があった。
こんな道の真ん中にあるとは思わなかった。
バスを降車し、私は職場に着いた。
その瞬間何か視線のようなものがこちらへ向けられている気がした。
車道の地面に赤ん坊が寝そべっているのだ。
え?と私は眉を顰めながら近づいていく、あまり常識では考えられない、コンクリートを這う赤ん坊。
私はこのままではいけないとそちらに寄っていく。
しかし、2度瞬きをするとそれは消える。
何かおかしいと思う反面、気のせいか?なんて思ってしまった。
職場の人に尋ねた。すぐそこで赤ん坊を見たと。
すると上司である彼は、
「ん、そっか見ちまったか。じゃあ気をつけないとな」
と怪訝そうに言った。何がと問うと、
「あれを1日のうちに三体見ちまうと、それはそれは恐ろしいことが起きる」
私は内心焦っていた。三分の一を超えたのだ。
その日に必要なものは部屋に揃っていたので、よし、外に出ることはなく今日を過ごせると私は安心した。
何も変哲もなく、その日の仕事が終わった。
私は部屋のテレビをつけ、早めの就寝の準備をした。
何故なら明日も朝が早く、そのこともあったからだ。
私は歯を磨きに行こうと立ち上がり、化粧台の前に立った。いつものように歯を磨きながら何も考えずにぼーっとしていた。
すると何か物音がした。
私の背後にある何かが倒れた。
洗濯を干すプラスチックの折り畳みハンガーが落ちた。
私は今日の話のこともあり、とても焦った。
その瞬間、何か目が合っているような気がした。
しゃがみ込んでそれを取り出そうとした時だけ何というかかいるんです。赤ん坊が。
私は焦って吐き出しそうになると再びそれはいなくなっていました。日付が変わるまで3時間半となりました。
私は怖くなって寝る支度をし、急いで布団に潜ろうと思いました。眠って仕舞えば明日になると。
私は寝ようと寝ようと努力しました。
しかし、うまく寝付けずに苛々していました。
目を強く瞑ったり、寝る体制を変えてみたりしました。
私はようやく眠りにつきました。
「おぎゃあ」という声が聞こえた後に。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます