しゃべるぬいぐるみ

私は姪っ子の誕生日に公民館のフリーマーケットで売っていた可愛い女の子のようなぬいぐるみを買いました。アニメのようなきゅるんとした目をしていて、愛くるしく、姪っ子も可愛がってくれると思っていました。数日後に渡しに行きました。そのときの話です。


とても喜んでくれました。

私がいる間でも肌身離さず、大切にすると言っていました。私も嬉しかったです。

それから数分後、姪っ子は自分の部屋で遊んでいると、急に静かになりました。

何事かと、見に向かうとショックを受けた表情の姪っ子がいました。どうしたのと声をかけると嫌だと嫌がっています。再び、どうしたのと声をかけたら

「手のとこ、押したらしゃべるの」

と言いました。私はえ?と思い、押そうとしました。

するとやだ!やめて!!と姪っ子は言いました。

私は確認をしようと、姪っ子の聞こえない場所、玄関の外に出ました。私はそのぬいぐるみの右手を摘むように押しました。するとぬいぐるみから声が聞こえました。女性の声です。

『咲ちゃん、私はあなたのお母さんです。でも一緒になれなかった』と聞こえました。

初めは恐怖よりも、切ない気持ちになりました。が、次の瞬間音割れしたような大きな音で

『だからお前も沈めて殺した』と。

私は驚いてそのぬいぐるみを地面に落としました。

電源を切ろうと再び、ぬいぐるみを持ち、中身を取り出そうと、中の機械のようなものを取りだす。電源のようなものがあり、こんなものをと電源をオフにしようとしたんです。オフのまんまでした。


それ以降、あのぬいぐるみは私が預かり、リサイクルショップに出しました。今でもどこかの店にあるのかと思うとゾッとします。

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万葉奇譚集 雛形 絢尊 @kensonhina

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