私は部屋の壁を見ていました。

こんな場所に汚れなどなかったはず、そう思い私はタオルを水で濡らし、手の届くような場所ではあったので汚れを落とそうとしていました。

少し擦っても汚れは取れず、徐々に力を強くしました。それでも汚れは落ちません。

築39年という年月に目を瞑り、この部屋に住んで1週間が経つ頃でした。

その次の日もやはり気になってしまって、じっと壁の方向を見ていました。

再び、汚れを落とそうとタオルを擦り試みると、その汚れは少しずつ大きくなっていきました。

まるで男性の顔に見えてきました。

私はその場で尻餅をついてしまいました。

その汚れは一瞬にして消え、元の汚れに戻りました。

見てはいけないものを見てしまったショックで、私は引っ越しを決めました。

引っ越し生活に慣れた頃、事故物件を検索できるサイトで検索をかけてみると、『自殺で死亡台所』と元の部屋が出てきました。

そう、もしかするとその汚れはキッチンにありました。今思うと壁にもたれかかる頭の位置にその汚れはありました。

あの汚れはきっとあの部屋に残っているのでしょうか。

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