短編集

冬生まれ

真夏のプール【BL/ショート】

熱い、暑い、真夏の夜。


学校のプールに忍び込み、勢いよく飛び込んだ。


冷たい水が心地よく、濁った音が耳に響く。


泡に埋もれた自身の躰は、暗い暗い水の中、ゆっくりユラユラ沈んでいく。


瞼を閉じると、思い出す。



大好きだった人がいた。


叶わない、恋をした。


だから最初から諦めていた。


だけど……。


彼が、他の女【ひと】を好きになったと知った時。


諦めが悔いへと変わった。


水の中で目を開く。


ぼやけた視界には何も見えない。


息が続くまで、ずっとこのまま……。


涙はきっと水に変わった。

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