オタクな俺の青春が陽キャに囲まれている件。
やこう
第1話 オタクな俺と陽キャの日常
「──で、
もぐもぐもぐ。
「うーん、ちょっと見たんだけどね」
もぐもぐもぐ。
「私には異世界?とか難しくてよく分からなかったや!」
もぐもぐもぐ。
「そうかぁ、あぁ、悲しい。……というかしっかり飲み込むもん飲み込んでから喋らないと」
「いや!今のは蓮が私の食べてる途中に喋りかけてきたからダメでしょ!」
「たっ、確かに……!」
今は授業と授業の間の十分休み。周りも喧騒に包まれている中、俺、
しかしその返事の内容はあまり嬉しいものではなかった。
オタクが誰しもする布教。それが上手くいかなかったことを聞いて俺は今悲しみに暮れている。
今俺の目の前にいる食いしん坊美女は、俺の勧めたラノベよりも菓子パンの方に意識がいっているらしかった。
布教失敗である。
「はああ……」
「そんな落ち込まなくても、ごめんごめん!」
「ごめんごめんじゃないよ!謝るくらいなら読んでくれよ!」
「じゃあ謝りません〜」
「読めよッ!!!」
俺の訴えは彼女の心には届かなかったらしい。
「今日も相変わらず二人は元気だな」
そんな声がした方を振り返るとそこにはイケメン
彼は正真正銘のイケメンである。男の俺でも惚れてしまいそう……。
自分で言うのもあれだが、もし俺を上の下とすると、彼は上の上だ。
──例え方が分かりずらい?そもそもお前の顔なんて知らねぇよ?
うーん、そうだな。
自分で自分のこと上の下って言うくらいの顔、そういうことだ。想像におまかせする。
「そんで俺の貸して勧めたラノベを読まなかったってことは昨日の夜何してたんだ?」
「えっと……」
そう俺が聞くと、人差し指同士をつんつんしながら何故か美春は照れ始めた。
「え?」
「おい、蓮!女の子にそんなプライベートな事聞いちゃ行けないだろ!」
「待て待て」
「蓮! もう私お嫁に行けない!」
そう言ってえーんと、俯いて泣いた振りをする美春。
「お前ら連携とるの上手すぎだろ!」
そんなやり取りをして俺をからかう二人。
その言葉を聞くとからかうのをやめたようで、美春と隼人は、二人目を合わせてニヤリと笑った。
「えーとね、そんで昨日の夜はね〜、私はドラマみながらポテチ食べてた!」
「まぁそうだろうな」
「蓮!? だろうなってなに、だろうなって!? もちろんドラマを見てたことに関してだよね!」
そう言われて肩を揺すられていると、横から新たな声が二つ。
「ほんとに二人は仲良しだよねぇ〜。何より何より」
「夢ちんは相変わらずみんなのおかんだよね〜」
「澪ちゃんそれはどういうことかな!?」
俺たち二人のやり取りを見てほわわんとした笑みを浮かべるのが、世話焼き上手なみんなのおかんこと、
そして彼女を『夢ちん』そう呼んだのが正統派クール美人、
こんな愉快な登場人物たちと共に、俺の賑やかな青春の一ページは紡がれていくのだ。
──あ!あと一人、野球部の
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読んで頂きありがとうございます!
完結保証済みです。毎日投稿していきますのでよろしければお付き合い下さい。
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