ピヨコ♂♀鑑定システム
魚市場
ピヨコ♂♀鑑定システム
真っ白な部屋に二つの扉がある。
部屋の中央には作業台があり、その前に一人の男が座っている。
痩身でメガネの男だ。
部屋の右側の扉が開き、作業着を着た恰幅の良い男性がやってきた。
口周りには立派な髭が生えている。まるで、だるまのようだ。
平たい箱を三つ重ねて持っている。
だるまはメガネの前に立ち、これから行われる作業の説明をした。
「あなたには、これからこの箱の中からメスのピヨコを選定してもらいます」
そう言って数十匹のピヨコの入った白い箱と空の白い箱を置いた。
「メスだと思ったピヨコをこちらの箱に、どちらか判らなければこの黒い箱にピヨコを入れてください」
そう言って、黒い箱を指差した。
「あの…一つよろしいでしょうか」
メガネが手を上げた。
「なんだ?」
「ピヨコのオスとメスの見分け方を知らないのですが…」
「それについては、問題ありません。あなたの直感でメスだと感じたらメスです」
「はぁ…」
「さて、そろそろ作業開始です。頑張ってください。あ、そうだ大事な事を言い忘れていました。
振り分けが上手くいっていれば、箱の中のピヨコが増えてるはずです。ですが、びっくりしないように。ピヨコは同性で集まると繁殖する生き物なのです。逆に異性同士でしばらく一緒にいると、ストレスが溜まり、いつの間にか灰のように消えてしまうのです」
そう言ってだるまは部屋から出ていった。
メガネは作業を開始した。
メガネがピヨコを手に取ると、ピヨコがピィピィと鳴いた。
メガネはメスの箱にピヨコを入れた。
次のピヨコは鳴かなかった。メガネは、ピヨコを黒い箱に入れた。
そうした作業をメガネは数時間おこなった。
メスの箱の中に入れられたピヨコは、作業開始時より少し数が増えていた。
部屋のブザーが鳴り達磨が入ってきた。
平たい箱を二つ重ねて持っている。
「お疲れ様です。これで最初の作業は終わりです。さて次の作業ですが、
この箱の中からオスのピヨコを選定してもらいます」
そう言ってピヨコの入った白い箱と空の白い箱を置いた。
「オスだと思ったピヨコをこちらの箱に、どちらか判らなければこの先ほどの黒い箱にピヨコを入れてください」
メガネは作業を開始した。
数時間経過、オスの箱のピヨコは、作業開始時より少し数が増えていた。
黒い箱の中のピヨコは、灰になりいつの間にか消えてしまっていた。
再びブザーが鳴り、だるまが入ってきた。
「お疲れ様です。これで作業は終わりです。では、この箱とこの箱、それからこの黒い箱を持ってあの扉に入ってください」
そう言ってだるまはメスのピヨコの入った箱、オスのピヨコの入った箱、そして黒い箱を指差した。
「扉の向こうにいる人に、あなたがおこなった作業の説明をしてあげてください」
メガネはこくこくと頷いた。
「あ、そうだ。ピヨコの生態系についての説明も忘れないように」
そう言ってだるまは右側の扉の中へ帰っていった。
メガネは三つの平たい箱を持ち、左側の扉の中に入っていった。
ピヨコ♂♀鑑定システム 魚市場 @uo1chiba
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます