大人になれば、わかる!社会にはいくつも会社があり…いろいろな人が怪しくてさー

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 だれかを簡単にあやつるテクニック、知っていますか?「もしかして、あなた…」「な、何だよ?」「あなた、知らないんですか?」

 社会は、心理戦。

 社会では、いくつもの会社がつながっている。

「だまされる会社」

「だます会社」

「謎解きカンパニー」

 など、など…。

 今日も、ある会社の社員の仕事がはじまった。

「あなたは、知っていますか?」

 男性高齢者に、優しく声がけ。

「…何がかね?」

「あそこの駅前通りの先の細い道を、進みますとね?」

「な、何かね?」

 大切なのは、ここで、情報をあやふやにすることだ。

「さあ、何があるのでしょうね?」

 答えは、教えない。

「な、何があるんだね?」

「それでは、ご案内いたしましょう」

 これで、人は簡単にあやつれる。

「若いねえ。あんたは、だれかね?」

「だまされる会社から、お客様を救いにまいった者ですよ」

「だまされる会社?」

「ええ」

「…そうか」

「ああ、そうそう。あなたは、あれを知っていますか?」

「何をかね?」

「良いことを、教えてあげますよ」

「いらんよ」

「もしかして、あなた…」

「何かね?」

「知らないんですか?」

「何をかね?」

「まさか、知らないとは…」

「じゃあ、教えてくれ!」

 その高齢男性を、さびれた商店街の奥に連れていき…。

 予定では、こう書かれたプラカードを出す予定だった。 

「ドッキリ、大成功!」

が、現実はこんなことになりました。

「ここですよ、ここ」

「ここかい、君?さみしすぎる場所だね」

「そうですね」

「高齢者いじめかね、君?」

「まさか」

「なあ、若者よ?」

「はい?」

「さみしい場所だねえ。人 1人、いないね…。ひひひ…」

「…え、ぎゃー!」

 その社員、男性高齢者に刺される。

 じつはその高齢者、「だまされる会社」のライバル社、「だます会社」の社長だったのだ。

「…ふう。帰りにまた、変装カンパニーに寄ろうかな」

 男性だと思われていた高齢者は、実は女性だった?

 もう、何が何だか…。

「あ!血を流した男性が、倒れている!」

 女性と入れ替わりに、とある情報会社の男性社員もやってきたぞ。

「何だ?事故か、事件か?さっぱりわからん、謎だな。専門の人に、解決してもらわないとならん!」

 その男性社員が、警察に通報。

 最後に、警察官まで駆けつけてきた。

「これは、謎ですな。正義の警察力で、解くべきでしょうな」

 まさか、その警察官も…?

社会は、やっぱり心理戦。

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