生徒会長は模範生でなくちゃいけない

 久しぶりの授業は楽しくなかった。集中なんかできるわけない、俺のことをひそひそと話してるのが分かる。大丈夫だ、大丈夫なのか。今すぐにでも教室を出たい。


 逃げらしたい。


 俺が撮ってある動画を広めたら、この騒ぎは無くなるだろう。けど、問題がある。

 俺は今嫌われている、そんな人が出した動画なんて誰が信じると思うか。


 絶対にない。


 お昼休憩になったので購買に行こうとした。席を立ち教室を出ようとした時。


「やっと、会えた」


 目の前には志保が居た。久しぶりに会う彼女はどこか雰囲気が変わっていて、とても美人だった。


「え? 俺に用?」


「うん」


 本当の天使かよ。


「俺も入れてくれよ」


 成瀬が言う。


 教室は俺の周りの席だけ空いていた。たまたま、だよな。


 机を並べる。俺の前には志保、横には成瀬。

「えーと、初めまして」


「あ、俺の名前は早川成瀬よろしく」


 二人はぎこちない挨拶を交わしていた。


「それで、俺になんの用なの? あんまり仲良くしてると嫌われるぞ?」


「あ、もう大丈夫です。私偽りの自分やめました」


 あの日から変わったんだな。


 成瀬は困惑していた。そうか、説明するのを忘れていた。


 成瀬に説明した後驚いていた。


「まさか、相馬先輩がそんな人なんだったのか」


「まあ、俺も驚いたよ。けど、志保の話を聞いて俺は怒ったんだ。怒りが収まることができなくて相馬を殴った。だから、殴ったのは本当のことだ」


「お前、男だな。超かっけーよ」


「そうか、ありがと」


「私は救われたよ。私が変わることができなのは拓哉が助けてくれたから。大好きだよ」


 そうか、俺のやったことは間違いではなかった。誰かが救われたんだ。


「てか、動画持ってるって言ってたよな? その動画広めたらお前の噂なんか消えるくね」


「そうだよ、あの動画広めようよ」


「けど、今この状況で出すのは得策でない、まだ、今じゃないんだ」


「そうなのか、今辛くないか?」


「めちゃ辛い」


「俺がいるから大丈夫だぞ、何があっても俺は拓哉の味方だ」


「私もよ」


「お前ら」


 泣いてしまった。俺には二人が居る。だから、きっと大丈夫だ。けど、問題は起きる。


「このクラスに、真治拓哉ってやついるか」


「はい、俺です」


「ああ、お前か今すぐ生徒会室に」


 え?これまた、めんどくさい。


 俺は二人を置いて生徒会室に向かった。ドアを開けると。


「君かよく来た。」


 高嶺の花だ。ああ、俺とは住む世界が違うよこの人。


「ええ、初めまして」


「すまない、自己紹介が遅れた。私の名前は花咲凜(はなさきりん)」


 漢字まで美しい。


「その、俺になんの用でしょうか?」


「君には生徒会に入ってもらう」


 無理です。無理。俺がこの名門高校の生徒会?絶対無理。俺がここまで生徒会に入りたくない理由は簡単だ。


 生徒会のメンバーは全員頭が良い。この高校は特殊だ、一人一回、生徒会に入りたい生徒たちのテストがある、多くの生徒がテストを受けに来るけど、受け終わったら泣いて帰ってくることもあるそうだ。しかも生徒会のメンバーは合計で10人しか居ない。


「君には今からテストを受けてもらう」


「あの、俺の噂知ってますよね? 大丈夫なんですか」


「もしかして合格すると思ってるのか」


「は、はい」


「もちろん、私はお前の噂を知っている、後相馬のこともな」


「え?」


「ああ、私は2年生だよ。ここは特殊なんだ、学力が一番の人が生徒会長になるんだよ」

 なんだと、この人がこの高校でトップも人なのか。本当に高嶺の花だ。

 二年生だから相馬のことを知っていたんだな。


「多分受かりますよ?」


「相当難しいぞ」


 午後の授業は免除になり、別室でテストを受けていた。

 10教科。いくら何でも多すぎ。テスト時間は2時間。


 数学、国語、英語、ビジネス、古文、財務、ソフトウェア、社会、地理、世界史。

 この教科をみて思ったことは、罠があるということ。


 一つのテストは100点。合計で1000点。


 それでだ、合格点は500点。つまり、テストはもう始まっている。


 簡単なこと、まず俺達の高校で勉強する教科は、数学、国語、英語、世界史、地理、この5教科。じゃあ、後の5教科はフェイクだ。


 普通に考えると半分の点数を合格点にするはずがない。それなら、多くの人が合格をしてるだろう。後、時間的にも無理だ。


 俺は、5教科を解いた。簡単だった。多分テスト自体は簡単に作られている。ただ、この10教科のうち間違えた教科を解いたら受かることはないだろう。

 テストが終わり生徒会室に持っていった。


「ほう、無事に解けたみたいね、じゃ、結果は全校集会の時に」

 え?そんな所で発表すること?


 合格しても、しなくても恥ずかしい。

 夏の暑さが感じる体育館に総勢800人が集まっていた。なんでこの場所なんだよ。


「みなさん静かに」


 凜が挨拶をするとみんが同じ方向を向く。神のお告げかな?


「今日集まってもらったのは、生徒会についてだ」


 うおーと盛り上がっている。そんな盛り上がることなんですかね。

 新しい人が入るの半年ぶりだよね。誰が入るんだろうね、やっぱあの人じゃね。二年の方から聞こえてくる。


 多分俺ですよー、ごめんだけど俺です。


「生徒会メンバーに新しく入ったのは、斎藤早百合、早川成瀬、藤波志保」


 え、えええええええええええ、嘘でしょ?いつの間に、テスト受けたんだよ。てか、テスト合格したんかい。


 早川成瀬って頭あんなに良かったか?


 で、俺は落ちたのか。


「そして、私と同等レベルで、次期生徒会長であることが決定している人がいる」


 まじかよ、誰だよ、頭良すぎじゃない、天才だ、そんな声がちらほら。


 いったい誰なんだろう


「その人は、真治拓哉、君だ」


 俺の方を指をさす。え、えええええええええ


 早百合、志保、成瀬は俺の方を向く、どうやら、やってしまったみたいだ。

 まだ、俺の印象は最悪のままなんですが。助けてよ神様。

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