第4話.恋バナ
「パンケーキ楽しみだね〜」
無事にパンケーキの注文を終え、たわいのない話でもしようとさくらちゃんへ向き直ると、突然「はぁ〜」と大きなため息をつかれる。
「で?何なの?」
「何って何が?」
「どうせ真依のことだから、ただパンケーキ食べにきたわけじゃないでしょ」
さすが親友。全てお見通しだ。
「バレた?」
少し舌を出してテヘペロっと可愛くやってみたが返ってきたのは、とてつもなく冷たい視線だった。綺麗にスルーされたところで本題に入ろうと「ゔゔんっ!」と咳払いをする。
「実は…今日は恋バナをしようと思ってさくらちゃんを誘いました!」
「…恋バナ?」
ニッコニコのとびっきりの笑顔でうんうんと頷く。実は、唐突に恋バナがしたくなりわざわざ放課後にさくらちゃんをカフェに誘ったのだ。
「恋バナって…。また有栖先生の話聞かされるの?」
「違うっ!…いや、そうだけど…そうじゃないの!」
確かに有栖先生の話はしようと思っていたけど、そうじゃなくて、
「さくらちゃんも話すのっ!」
ドンッとテーブルに両手をつき、前のめりになりながらそう言うとさくらちゃんは驚いたのか一瞬目を丸くした。
「え〜、ウチ?ウチは何もないよ。」
「そんなこと言わずに〜。何かないの?気になる人とかさ〜」
「ホントに何もないんだって。それより真依は?話聞いてあげるから。有栖先生とは最近どうなの?」
「え〜?」
まただ。またはぐらかされた。恋バナをしようとしてもいつもさくらちゃんは自分の話をしてくれない。まぁ、別に無理に聞き出そうとは思わないし、いつか自分から話してくれるって信じてるけど。
不満そうに、むぅ〜とほっぺを膨らましながらも最近の有栖先生との様子を思い浮かべる。
「有栖先生は〜、アップルパイとブラックコーヒーとミステリー小説でしょ〜。それと、猫が好きらしい!」
「ほうほう。」
「んで、ピーマンが嫌い!実は国語が苦手で〜あ、あと結構おっちょこちょい。」
ここ1ヶ月で先生から聞き出した情報と観察してわかったことつらつらと語ってみる。うーん。1ヶ月にしては結構情報収集できたかも。
「めちゃくちゃ先生のこと好きじゃん…」
「そりゃあ。もう、大好きですよ。」
「じゃあ、もっと仲良くなっていかなきゃね」
「そうなんだよね…なんか色々聞き出せてはいるけどイマイチ仲良くなれてる感じがしないんだっよね…」
「なんか先生の手伝いとかしたらいいんじゃない?あと、勉強教えてもらうとか。」
「なるほど…いいかも。さくらちゃん天才!ありがとう!」
手伝い…勉強…頭になかったな。確かにそうすれば先生と仲良くなれるかも!
「早速明日からやってみる!!」
「おぉ…」
絶対先生と仲良くなってやるっ!
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