甘くなりたい。

@09130000

第1話

砂糖いっぱいの甘いお菓子、レースがたくさん縫われた可愛いお洋服、お人形さんのように染まった赤い頬。全て私には当てはまらなくていつまでも名前のようにはなれない。



「あまーおはーー」

「おはよ」

「今日転校生くるらしいよーめずらしくね」

「えーーー高校に転校生とか来るんだ」

そんな日常会話をしていると

キーンコーンカーンコーン

「おはようございます今日は転校生が来ています、入ってきて」

ガラガラッ

「初めまして、中村佳子です。好きなものは可愛いものと子猫です。お願いします。」

そこには黒髪縦ロールでBABYの髪飾りをしたまるでお人形さんのような少女が立っていた。教室中がざわついてみんなが驚いている中、私は彼女から目が離せなかった。私の理想を詰め込んだような子だったからだ。佳子に見惚れていると、いろんな声が聞こえてきた。

「ねえ、あの佳子って女キモくない?」

「何あの髪型笑笑へんなの。」

「頭悪そうな格好笑」

「あんなのぶりっ子じゃん可愛いものと子猫が好きって狙いすぎでしょ笑笑」

「ねえあまもそう思うよね!」

「……………う、うん。」

私は本当にダサい。周りに嫌われたくなくて本当の思いはいつも言えないまま流されてばかり。思っていないことまで「うん」と返してしまう自分が大嫌いだ。


佳子は派手な見た目でありながら性格にも棘があった。

みんなの新しい珍しいものに対しての好奇心からくる質問攻めに冷たい、この見た目からは考えられないような返しをするのだ。


佳子がクラスで浮くまでにそう時間はかからなかった。

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